同じリスクを共有するグループのメンバーが保険料をプールし、保険金の支払いに充当する相互扶助型の保険モデル。従来の保険会社を介さず、テクノロジーを活用してグループ内でリスクを分散する仕組みで、保険料の透明性向上と不正請求の抑制が期待されている。
P2P 保険の仕組みと従来型保険との違い
P2P 保険の基本的な仕組みは、加入者がグループを形成し、各メンバーが保険料をプールに拠出する。グループ内で保険事故が発生した場合、プールから保険金が支払われる。期末にプールに残金がある場合は、メンバーに返金されるか、翌期の保険料に充当される。この「残金返金」の仕組みが、従来型保険との最大の違いだ。
従来型の保険では、保険料の内訳 (純保険料と付加保険料の比率) が不透明で、保険会社の利益がどの程度含まれているかを加入者が把握しにくい。P2P 保険はプールの残高や保険金の支払い状況をリアルタイムで開示するため、透明性が高い。また、グループのメンバー同士が知り合いである場合、不正請求に対する社会的な抑止力が働くため、モラルハザードの低減効果も期待される。
P2P 保険の課題と日本での展開可能性
P2P 保険の課題は、グループの規模が小さいとリスク分散が不十分になる点だ。メンバーが 10 人のグループで高額な保険事故が発生すると、プールが枯渇して補償が不足する。この問題に対処するため、多くの P2P 保険プラットフォームは再保険会社と提携し、プールの上限を超える損害をカバーする仕組みを導入している。
海外では Lemonade (米国)、Friendsurance (ドイツ) などが P2P 保険のモデルで成長しているが、日本では保険業法の規制により純粋な P2P モデルの展開は難しい。ただし、justInCase の「わりかん保険」のように、P2P の要素を取り入れた商品は登場している。がんと診断された加入者がいた月だけ保険料が発生し、いなければ保険料がゼロになるという仕組みで、P2P 保険の透明性と合理性を日本の規制環境に適合させた事例だ。