海外旅行保険や医療保険の加入者が、提携医療機関で治療を受ける際に、保険会社が医療費を直接医療機関に支払う仕組み。患者は窓口での自己負担なく治療を受けられるため、海外での高額な医療費を立て替える必要がなく、手持ちの現金が不足している緊急時にも安心して受診できる。
キャッシュレス診療の仕組みと利用条件
キャッシュレス診療は、保険会社と医療機関の間で直接精算が行われる仕組みだ。患者は保険証券 (または保険会社のアプリ) を提示するだけで治療を受けられ、医療費は保険会社から医療機関に直接支払われる。従来の「立替払い → 帰国後に保険金請求」という流れと比較して、患者の経済的・心理的負担が大幅に軽減される。
利用条件として、(1) キャッシュレス診療に対応した保険に加入していること、(2) 提携医療機関で受診すること、(3) 事前に保険会社のアシスタンスデスクに連絡して承認を得ること、の 3 つが一般的だ。提携医療機関のネットワークは保険会社によって異なり、主要都市では複数の選択肢があるが、地方や途上国では提携医療機関が限られるケースもある。渡航前に、滞在先の提携医療機関リストを確認しておくことが重要だ。
キャッシュレス診療を活用するための実務的な準備
キャッシュレス診療を確実に利用するには、渡航前の準備が不可欠だ。まず、加入している保険がキャッシュレス診療に対応しているかを確認する。クレジットカード付帯の海外旅行保険でもキャッシュレス診療に対応しているカードは多いが、対応していないカードもある。次に、保険会社のアシスタンスデスクの電話番号 (海外からのコレクトコール番号) をスマートフォンに登録しておく。
実際に体調を崩した場合の手順は、(1) アシスタンスデスクに電話し、症状と現在地を伝える、(2) デスクが最寄りの提携医療機関を案内し、キャッシュレス診療の手配を行う、(3) 指定された医療機関を受診し、保険証券を提示する、(4) 治療を受け、保険会社と医療機関の間で精算が行われる、という流れだ。緊急時は先に受診し、後からアシスタンスデスクに連絡することも可能だが、その場合は一時的に立替払いが必要になることがある。