サイバー攻撃や情報漏洩によって発生する損害賠償責任、事故対応費用、事業中断損失などを包括的に補償する保険商品。ランサムウェア被害の急増やフィッシング詐欺の巧妙化を背景に、企業だけでなく個人事業主やフリーランスにも需要が拡大している。
サイバー保険の補償範囲と対象となるリスク
サイバー保険の補償は「賠償責任補償」「費用補償」「利益補償」の 3 つの柱で構成される。賠償責任補償は、個人情報漏洩によって顧客や取引先に生じた損害の賠償金をカバーする。費用補償は、事故発生時のフォレンジック調査費用、被害者への通知費用、コールセンター設置費用、法律相談費用などを補償する。利益補償は、サイバー攻撃によるシステム停止で失われた営業利益を補填する。
対象となるリスクは、不正アクセスによる情報漏洩、ランサムウェアによるデータ暗号化、フィッシング詐欺による金銭被害、DDoS 攻撃によるサービス停止、従業員の過失によるデータ流出など多岐にわたる。近年はサプライチェーン攻撃 (取引先経由での侵入) やビジネスメール詐欺 (BEC) の被害も補償対象に含まれるケースが増えている。
サイバー保険の選び方と個人・中小企業での活用
サイバー保険を選ぶ際は、補償範囲、保険金額、免責金額、付帯サービスの 4 点を比較する。特に重要なのは付帯サービスだ。事故発生時に 24 時間対応のインシデントレスポンスチームが利用できるか、フォレンジック調査の手配を保険会社が代行してくれるかは、実際の被害を最小化する上で決定的な差を生む。
個人事業主やフリーランスにとっても、サイバー保険は検討に値する。顧客の個人情報を扱う業務 (Web 制作、EC 運営、コンサルティングなど) では、情報漏洩時の損害賠償リスクが個人の資産を超える可能性がある。年間保険料は事業規模や業種によって異なるが、個人事業主向けのプランは年間 5〜15 万円程度から加入できる。セキュリティ対策の強化と併せて、万が一の備えとしてサイバー保険を組み合わせるのが現実的なリスク管理だ。