一定期間に保険金の請求がなかった場合に、翌年以降の保険料が割引される制度。自動車保険のノンフリート等級制度が代表的で、無事故を継続するほど等級が上がり保険料が安くなる。逆に事故を起こすと等級が下がり保険料が大幅に上昇するため、保険金請求の損益分岐点を見極める判断力が求められる。
自動車保険のノンフリート等級制度の仕組み
ノンフリート等級制度は、1〜20 等級の 20 段階で構成される。新規加入時は 6 等級からスタートし、1 年間無事故であれば翌年 1 等級上がる。事故で保険金を請求すると、事故の種類に応じて 1〜3 等級下がる。20 等級 (最高) の割引率は約 63% で、1 等級 (最低) の割増率は約 64% だ。つまり、20 等級と 1 等級では保険料に約 4 倍の差が生じる。
2012 年の制度改定で「事故有係数」が導入され、同じ等級でも事故歴の有無で保険料が異なるようになった。たとえば 10 等級でも、無事故の場合は 45% 割引だが、事故有の場合は 23% 割引にとどまる。事故有係数の適用期間は、3 等級ダウン事故で 3 年間、1 等級ダウン事故で 1 年間だ。この制度により、一度の事故が 3 年間にわたって保険料に影響するため、軽微な事故での保険金請求は慎重に判断すべきだ。
保険金請求の損益分岐点と賢い判断方法
軽微な事故で保険金を請求するかどうかは、「請求した場合の保険料増加額」と「自己負担で修理した場合の費用」を比較して判断する。たとえば、修理費が 10 万円の事故で保険金を請求すると、等級が 3 つ下がり、翌年以降 3 年間で保険料が合計 15 万円増加するケースがある。この場合、保険金を請求せずに自己負担で修理した方が 5 万円得になる。
損益分岐点の計算は、現在の等級、保険料、事故後の等級と保険料を 3 年分シミュレーションして行う。多くの保険会社は Web サイトやアプリで等級シミュレーターを提供しているため、事故発生時にはまずシミュレーションを実行し、請求の可否を数値で判断すべきだ。一般的な目安として、修理費が 20 万円以下の場合は自己負担の方が有利になるケースが多い。無事故割引を維持することの長期的な経済効果は大きく、安易な保険金請求は避けるべきだ。