元本に対して発生した利息を元本に組み入れ、次の期間では増加した元本に対してさらに利息が計算される仕組み。アインシュタインが「人類最大の発明」と評したとされる概念で、長期の資産形成において雪だるま式に資産が増加する効果を生む。
複利の計算方法と単利との違い
複利の計算式は「元本 × (1 + 利率) ^ 期間」で表される。たとえば 100 万円を年利 5% で 10 年間運用した場合、単利では 100 万 + (100 万 × 5% × 10 年) = 150 万円だが、複利では 100 万 × 1.05^10 ≒ 163 万円になる。この 13 万円の差が「複利効果」であり、運用期間が長くなるほど差は加速度的に拡大する。20 年では単利 200 万円に対し複利約 265 万円、30 年では単利 250 万円に対し複利約 432 万円だ。
複利効果を最大化する鍵は「時間」と「再投資」の 2 つだ。利息や配当を受け取って消費するのではなく、元本に再投資することで複利のサイクルが回り続ける。投資信託の分配金再投資コースや、配当再投資プラン (DRIP) はこの仕組みを自動化するものだ。72 の法則 (72 ÷ 利率 = 資産が倍になる年数) を使えば、複利効果の目安を暗算で把握できる。年利 6% なら約 12 年で資産が倍になる計算だ。
複利を活かした資産形成の実務的な戦略
複利の恩恵を最大限に受けるには、できるだけ早く投資を始め、長期間にわたって運用を継続することが重要だ。25 歳から月 3 万円を年利 5% で積み立てると、65 歳時点で約 4,580 万円になる。同じ条件で 35 歳から始めると約 2,500 万円にとどまり、10 年の差が約 2,000 万円の資産差を生む。この差のほとんどは複利効果によるものだ。
注意すべきは、複利はマイナス方向にも作用する点だ。借入金の利息が複利で計算される場合、返済が遅れるほど負債が膨張する。クレジットカードのリボ払い (年利 15% 前後) は複利の負の側面の典型例で、元本がなかなか減らない構造になっている。資産形成では複利を味方につけ、借入では複利を敵に回さないことが、個人の財務戦略の基本原則だ。