納税者に所得税法上の扶養親族がいる場合に、一定額を所得から控除できる制度。扶養親族の年齢や同居の有無によって控除額が異なり、一般の扶養親族は 38 万円、特定扶養親族 (19〜22 歳) は 63 万円、老人扶養親族 (70 歳以上) は同居で 58 万円、別居で 48 万円が控除される。
扶養控除の区分と控除額の詳細
扶養控除は扶養親族の年齢と同居状況によって 4 つの区分に分かれる。16 歳以上 19 歳未満と 23 歳以上 70 歳未満の「一般の扶養親族」は控除額 38 万円。19 歳以上 23 歳未満の「特定扶養親族」は大学生の子どもを想定しており、教育費の負担を考慮して 63 万円と最も高額だ。70 歳以上の「老人扶養親族」は同居の場合 58 万円、別居の場合 48 万円となる。なお、16 歳未満の子どもは児童手当の対象であるため、扶養控除の対象外だ。
扶養親族の要件は、生計を一にしていること、年間の合計所得金額が 48 万円以下 (給与収入のみなら 103 万円以下) であること、青色申告者の事業専従者でないことだ。「生計を一にする」とは必ずしも同居を意味せず、仕送りをしている別居の親や、大学進学で一人暮らしをしている子どもも該当する。共働き夫婦の場合、子どもの扶養控除はどちらか一方の親しか適用できないため、所得の高い方が申告するのが節税上有利だ。
扶養控除の実務的な注意点と最適化
扶養控除で最も注意すべきは「103 万円の壁」だ。扶養親族のアルバイト収入が年間 103 万円を超えると扶養控除の対象外になり、親の税負担が増加する。特定扶養親族 (大学生) の場合、63 万円の控除がなくなることで所得税率 20% の親は約 12.6 万円、住民税と合わせると約 18.9 万円の増税になる。子どものアルバイト収入が 103 万円を少し超える程度なら、世帯全体では手取りが減る「逆転現象」が起きる。
老人扶養親族の控除は、離れて暮らす親を扶養に入れることで適用できる。親の年金収入が 158 万円以下 (65 歳以上の場合) であれば所得要件を満たす。仕送りの事実を証明できる銀行振込の記録があれば「生計を一にする」要件も満たせる。親を扶養に入れると、扶養控除に加えて親の国民健康保険料の負担がなくなる (子の社会保険の被扶養者になる) メリットもある。ただし、親が後期高齢者医療制度の対象 (75 歳以上) の場合は健康保険の被扶養者にはなれない点に注意が必要だ。