個人型確定拠出年金の愛称で、自分で掛金を拠出し、自分で運用商品を選んで老後資金を準備する私的年金制度。掛金が全額所得控除、運用益が非課税、受取時にも税制優遇があるという三重の税制メリットが最大の特徴だ。
iDeCo の税制メリットと掛金上限
iDeCo の税制メリットは 3 段階で構成される。第一に、毎月の掛金が全額所得控除の対象となる。年収 500 万円の会社員が月 23,000 円 (年間 276,000 円) を拠出した場合、所得税と住民税を合わせて年間約 55,000〜83,000 円の節税効果がある。第二に、運用期間中の利益 (配当・売却益) が非課税だ。通常は約 20% 課税されるため、長期運用では大きな差になる。第三に、受取時にも退職所得控除や公的年金等控除が適用される。
掛金の上限は加入者の職業によって異なる。自営業者は月 68,000 円、企業年金のない会社員は月 23,000 円、公務員は月 12,000 円が上限だ。2024 年 12 月からは企業型確定拠出年金との併用条件が緩和され、より多くの会社員が iDeCo に加入しやすくなった。
iDeCo と NISA の使い分けと注意点
iDeCo と NISA はどちらも税制優遇のある投資制度だが、性質が大きく異なる。最大の違いは資金の流動性だ。NISA はいつでも売却・引き出しが可能だが、iDeCo は原則 60 歳まで引き出せない。この「ロックイン」は老後資金の確実な確保という点ではメリットだが、急な資金需要に対応できないデメリットでもある。
実務的な使い分けとしては、まず緊急予備資金を確保した上で、iDeCo で所得控除のメリットを最大限活用し、余裕資金を NISA で運用するのが合理的だ。iDeCo の運用商品は元本確保型 (定期預金・保険) とリスク資産型 (投資信託) に分かれるが、60 歳までの長期運用を前提とするなら、全世界株式インデックスファンドなどのリスク資産型を中心に据えるのが合理的だ。手数料 (口座管理料、信託報酬) は長期で大きな差を生むため、低コストの商品を選ぶことが鉄則だ。