算出された税額から直接一定額を差し引く控除方式。所得控除が課税所得を減らすのに対し、税額控除は納付すべき税金そのものを減額するため、同じ控除額でも節税効果が大きい。住宅ローン控除やふるさと納税の住民税控除がこの方式に該当する。
税額控除と所得控除の違いを正しく理解する
税額控除と所得控除は名前が似ているが、節税効果の仕組みが根本的に異なる。所得控除は課税所得から一定額を差し引くため、実際の節税額は「控除額 × 税率」となる。たとえば所得控除 10 万円で税率 20% なら節税額は 2 万円だ。一方、税額控除は計算済みの税額から直接差し引くため、控除額がそのまま節税額になる。税額控除 10 万円なら、税率に関係なく 10 万円の節税効果がある。
この違いは高所得者と低所得者で影響が異なる。所得控除は税率が高い人ほど節税効果が大きくなるため、高所得者に有利だ。税額控除は税率に関係なく一律の効果があるため、所得水準による不公平が生じにくい。政策的に税額控除が採用されるケースが増えているのは、この公平性の観点が背景にある。
代表的な税額控除制度と活用の実務
日本の税制で代表的な税額控除には、住宅ローン控除 (住宅借入金等特別控除)、配当控除、外国税額控除がある。住宅ローン控除は年末のローン残高の 0.7% が最大 13 年間にわたって所得税から控除される制度で、控除しきれない分は住民税からも一部控除される。ふるさと納税の住民税特例控除も税額控除の一種であり、所得税の寄附金控除 (所得控除) と合わせて二段構えで控除が適用される。
実務上の注意点として、税額控除には適用順序がある。住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合、住宅ローン控除が先に適用されるため、所得税から控除しきれない住宅ローン控除分が住民税に回り、ふるさと納税の控除枠が圧迫されることがある。両方を最大限活用するには、事前のシミュレーションで控除上限額を正確に把握することが不可欠だ。