ATM 1 台の年間維持費は 300〜500 万円
ATM は「お金を出し入れする箱」に見えるが、その維持には驚くほどのコストがかかる。
機器本体。ATM 1 台の価格は約 300〜500 万円。耐用年数は 7〜10 年で、年間の減価償却費は約 30〜70 万円。
現金の補充・回収。警備会社 (セコム、ALSOK など) が現金の輸送・補充・回収を行う。1 回あたり数万円、月に数回で年間 100〜200 万円。
通信費・電気代。ATM は 24 時間稼働し、銀行のホストコンピュータと常時通信している。年間 20〜50 万円。
設置場所の賃料。コンビニや商業施設に設置する場合、場所代が発生する。年間 50〜150 万円。
保守・修理。紙幣の詰まり、画面の故障、ソフトウェアの更新。年間 30〜50 万円。
合計すると、ATM 1 台の年間維持費は約 300〜500 万円。1 日あたり約 8,000〜14,000 円のコストが、ATM が稼働しているだけで発生している。 節約を手に入れる →
手数料 220 円の内訳 - 誰がいくら受け取るのか
他行の ATM で時間外に現金を引き出すと、110〜220 円の手数料がかかる。この手数料はどこに流れるのか。
ATM 設置者 (コンビニ ATM の場合はセブン銀行やイーネットなど)。手数料の大部分を受け取る。ATM の維持費を賄い、利益を出すための収入源だ。
カード発行銀行 (利用者の口座がある銀行)。ネットワーク利用料として一部を受け取る。
決済ネットワーク (MICS、全銀ネットなど)。銀行間の取引を仲介するネットワークの利用料。
セブン銀行の決算資料を見ると、ATM 1 台あたりの 1 日の平均利用件数は約 90〜100 件。1 件あたりの手数料収入 (銀行から受け取る分) は平均約 100〜120 円。1 台あたりの 1 日の収入は約 9,000〜12,000 円。年間では約 330〜440 万円。
ATM の年間維持費 300〜500 万円と比較すると、利益率は決して高くない。利用件数が減ると赤字に転落するギリギリのビジネスだ。キャッシュレス決済の普及で ATM の利用件数が減少傾向にあり、ATM ビジネスの将来は楽観できない。
なぜ「時間外」に手数料がかかるのか - 実は技術的な理由ではない
「時間外手数料」という名前から、夜間や休日は ATM の運用コストが高いのかと思うかもしれない。しかし、ATM は 24 時間自動で稼働しており、時間帯によるコスト差はほぼない。
時間外手数料の本当の理由は「価格差別」だ。経済学でいう価格差別とは、同じ商品・サービスを、顧客の支払い意欲に応じて異なる価格で提供すること。
平日の日中に ATM を利用できる人は、時間に余裕がある (= 手数料を避けるために銀行の営業時間内に行ける)。一方、夜間や休日にしか ATM を利用できない人は、時間に余裕がない (= 手数料を払ってでも今すぐ現金が必要)。後者の方が「支払い意欲」が高いため、高い手数料を設定できる。
早期割引の仕組みやホテルのダイナミックプライシングと同じ原理だ。需要の高い時間帯に高い価格を設定し、需要の低い時間帯に安い (または無料の) 価格を設定する。
ATM 手数料を年間ゼロにする 5 つの方法
ATM 手数料は、工夫次第で年間ゼロにできる。月に 4 回、220 円の手数料を払っている人は、年間 10,560 円を節約できる。
1. ネット銀行を活用する。住信 SBI ネット銀行、楽天銀行、ソニー銀行などのネット銀行は、月に数回の ATM 手数料が無料になる特典がある。ランクに応じて月 2〜15 回まで無料。
2. 給与振込口座の特典を使う。多くの銀行は、給与振込口座に指定すると ATM 手数料が優遇される。メインバンクの特典を確認しよう。
3. コンビニ ATM の無料提携を確認する。自分の銀行がどのコンビニ ATM と提携しているかを確認する。提携先なら手数料が無料、または割安になる。
4. キャッシュレス決済に移行する。そもそも現金を引き出す回数を減らす。キャッシュレス決済を日常の支払いに使えば、ATM に行く頻度は月 1〜2 回で済む。PayPay やクレジットカードを活用しよう。
5. まとめて引き出す。ATM に行く回数自体を減らす。週に 2 回引き出すなら、月初に 1 回まとめて引き出す。引き出し回数が減れば、手数料の発生機会も減る。
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