ブラックフライデーの由来 - 「黒字」になる金曜日
ブラックフライデーは、アメリカの感謝祭 (11 月第 4 木曜日) の翌日の金曜日だ。クリスマス商戦の幕開けとして、小売店が大規模なセールを実施する。
「ブラック」の由来には諸説あるが、最も広く知られているのは「小売店の帳簿が赤字 (レッド) から黒字 (ブラック) に転じる日」という説だ。年間売上の大きな割合がこの日に集中するため、この 1 日で年間の赤字を解消できるほどの売上が立つ。
日本では 2016 年頃から Amazon や楽天が導入し、急速に定着した。セール時期の法則で解説した年間セールカレンダーに、新たな大型セールが加わった形だ。
しかし、ブラックフライデーの「大幅値引き」は、本当にお得なのだろうか。消費者庁や各国の調査機関が、セール価格の実態を調査している。その結果は、消費者にとって必ずしも喜ばしいものではない。 セールを注文する →
「値上げしてから値下げ」の実態
ブラックフライデーで最も問題視されているのが、「セール前に値上げし、セール時に元の価格に戻して『○% オフ』と表示する」手口だ。
イギリスの消費者団体 Which? の調査 (2023 年) によると、ブラックフライデーの「セール品」の約 90% は、過去 6 ヶ月以内に同じ価格かそれ以下で販売されていた。つまり、「特別に安い」わけではなく、通常の価格変動の範囲内だった。
日本でも同様の事例が報告されている。EC サイトで「通常価格 15,000 円 → ブラックフライデー特価 9,800 円 (35% オフ)」と表示されている商品が、実は 1 ヶ月前まで 10,000 円で販売されていた、というケースだ。実質的な値引きは 2% に過ぎない。
値上げの心理学で解説した「シュリンクフレーション」と同様に、消費者が気づきにくい形で実質的な値引き幅を小さくする手法だ。割引の数学を使って、「元の価格」が本当に妥当かどうかを検証する習慣が必要だ。
本当にお得な商品とそうでない商品
ブラックフライデーで本当にお得になる商品と、見せかけだけの商品を見分けるポイントをまとめる。
本当にお得になりやすい商品。型落ちの家電製品 (新モデル発売後の旧モデル)、Amazon デバイス (Echo、Fire TV、Kindle)、ゲームソフト (発売から半年以上経過したもの)、日用品の大容量パック。これらは在庫処分の意味合いが強く、実質的な値引きが大きい。
見せかけの値引きが多い商品。ファッション (「参考価格」が恣意的に設定されやすい)、ノーブランドの家電 (元の価格自体が不透明)、「ブラックフライデー限定モデル」(比較対象がないため割引率を検証できない)。
価格追跡ツールを使う。Amazon の価格推移を確認できるブラウザ拡張機能 (Keepa、camelcamelcamel) を使えば、過去の価格推移が一目でわかる。「ブラックフライデー価格」が本当に最安かどうかを、データで判断できる。
レビュー経済の裏側で解説したように、セール時は「お得感」に流されて冷静な判断ができなくなりやすい。価格追跡ツールは、感情に流されないための強力な武器だ。
ブラックフライデーで賢く買い物する 5 つのルール
ブラックフライデーを賢く活用するためのルールをまとめる。
1. 買い物リストを事前に作る。セール前に「本当に必要なもの」をリストアップする。セール当日にリストにないものは買わない。限定品に弱い心理に対抗する最も効果的な方法だ。
2. 価格追跡ツールで過去の最安値を確認する。ブラックフライデー価格が過去の最安値を下回っているかどうかを確認する。下回っていなければ、急いで買う必要はない。
3. 「○% オフ」ではなく「最終価格」で判断する。70% オフでも、最終価格が自分の予算を超えていれば買わない。割引の数学で解説したように、割引率に惑わされず、支払う金額で判断する。
4. ポイント還元を含めた実質価格で比較する。Amazon、楽天、Yahoo! ショッピングで同じ商品の価格を比較する。ポイント経済圏を考慮した実質価格で判断する。
5. 返品ポリシーを確認する。返品ポリシーの心理学で解説したように、返品可能な商品なら「とりあえず買って、冷静になってから判断する」という選択肢もある。セール品の返品条件が通常と異なる場合があるので、事前に確認しよう。
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