ドラッグストアの食品はなぜスーパーより安いのか
ドラッグストアで牛乳やカップ麺を買ったことがあるだろうか。同じ商品がスーパーより 10〜30% 安いことに気づいた人も多いはずだ。薬局なのに、なぜ食品がこれほど安いのか。
答えは「クロスサブシディ」(内部補助) にある。ドラッグストアの収益の柱は医薬品と化粧品だ。これらの商品は粗利率が 35〜50% と極めて高い。この高利益率商品の利益で、食品の低価格販売 (場合によっては原価割れ) を補填している。
食品は「客寄せ」の役割を果たす。「牛乳が 150 円」「カップ麺が 88 円」という価格で来店した客が、ついでに風邪薬 (粗利率 40%) やシャンプー (粗利率 35%) を購入する。食品の赤字を、医薬品・化粧品の利益が大幅に上回る。
100 円ショップの「ドル箱」と「客寄せ」、コンビニのおにぎり 100 円セールと同じ構造だ。低利益率商品で集客し、高利益率商品で稼ぐ。小売業の基本戦略が、ドラッグストアでは最も極端な形で実践されている。 ドラッグストアを試してみる →
医薬品の驚異的な利益率 - 粗利率 40〜50% の世界
ドラッグストアの商品カテゴリ別粗利率を見ると、食品との差は歴然だ。
医薬品 (OTC)。粗利率 40〜50%。風邪薬、胃腸薬、目薬、ビタミン剤。1,500 円の風邪薬の仕入れ値は 750〜900 円。粗利は 600〜750 円。
化粧品。粗利率 35〜45%。スキンケア、メイクアップ、ヘアケア。ブランド化粧品は特に利益率が高い。
日用品。粗利率 20〜30%。洗剤、ティッシュ、トイレットペーパー。スーパーと競合するため、価格競争が激しい。
食品。粗利率 10〜20%。飲料、菓子、カップ麺、乳製品。スーパーの粗利率 (20〜25%) より低く設定されていることが多い。
医薬品の粗利率が高い理由は、価格競争が起きにくいからだ。風邪を引いたとき、「A 店の風邪薬は 1,500 円だが、B 店は 1,400 円だから B 店に行こう」と比較する消費者は少ない。体調が悪いときは、最寄りのドラッグストアで買う。この「価格感度の低さ」が、高い粗利率を維持できる理由だ。
ドラッグストア戦争 - 食品の安売り競争が激化する理由
日本のドラッグストア業界は、出店競争が激化している。ウエルシア、ツルハ、マツキヨココカラ、スギ薬局、コスモス薬品。大手チェーンが全国で店舗数を拡大し、同じ商圏に複数のドラッグストアが乱立する状況が生まれている。
競合が増えると、差別化の手段として食品の安売りがエスカレートする。「うちの方が牛乳が安い」「うちの方がカップ麺が安い」。食品の価格で集客し、医薬品と化粧品で利益を確保する。この構造が、ドラッグストアの食品価格をさらに押し下げている。
特にコスモス薬品は、食品の品揃えと低価格に特化した戦略で急成長した。店舗面積の約半分を食品売場に充て、スーパーマーケットに匹敵する品揃えを実現している。「ドラッグストアなのにスーパーより安い」という認知が広がり、日常の食品購入先としてドラッグストアを選ぶ消費者が増えている。
この競争の恩恵を受けるのは消費者だ。ドラッグストアの食品価格は、スーパーの価格にも下方圧力をかけている。
ドラッグストアで賢く買い物するテクニック
ドラッグストアの価格構造を理解した上で、賢く買い物するためのテクニックをまとめる。
食品と日用品はドラッグストアで買う。牛乳、卵、パン、カップ麺、飲料、洗剤、ティッシュ。これらの日常品は、スーパーよりドラッグストアの方が安いことが多い。曜日別の買い物術と組み合わせて、特売日を狙えばさらにお得だ。
医薬品は価格を比較してから買う。医薬品は粗利率が高い分、店舗間の価格差も大きい。同じ風邪薬でも、A 店と B 店で 200〜300 円の差があることは珍しくない。急ぎでなければ、複数店舗の価格を比較しよう。
ポイントカードとクーポンを活用する。ドラッグストア各社のアプリは、高還元率のクーポンを頻繁に配信している。コンビニアプリのクーポンと同様に、パーソナライズされたクーポンが届くことが多い。PayPay のキャンペーンと組み合わせれば、さらに実質価格を下げられる。
PB 商品を活用する。ドラッグストアの PB 医薬品は、NB 商品と同じ有効成分で 20〜40% 安い。成分表示を確認し、同等品であれば PB を選ぶのが合理的だ。
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