保険料の 60〜70% は保険金以外に消える
生命保険の保険料は、大きく 3 つの要素で構成されている。
純保険料 (約 30〜40%)。実際に保険金として支払われる部分。死亡率や入院率などの統計データに基づいて算出される。
付加保険料 (約 50〜60%)。保険会社の運営経費。営業職員の人件費、広告宣伝費、オフィスの賃料、システム維持費など。生命保険会社の営業職員は全国に約 23 万人おり、この人件費が付加保険料の大きな部分を占める。
利益 (約 5〜10%)。保険会社の利益。
つまり、月額 10,000 円の保険料を払っている場合、保険金の原資になるのは 3,000〜4,000 円。残りの 6,000〜7,000 円は保険会社の経費と利益だ。宝くじの還元率 46% と比較すると、保険の「還元率」はさらに低い。
数学的に見れば、保険は「期待値がマイナスの賭け」だ。それでも保険が存在し、多くの人が加入する理由は何か。 亜鉛サプリを購入する →
保険の本質は「期待値」ではなく「リスク移転」
保険を期待値で評価するのは、実は間違っている。保険の本質は「低確率だが発生したら壊滅的な損失」を、「確実だが小さな支出 (保険料)」に変換する仕組みだ。
例を挙げよう。30 歳男性が 60 歳までに死亡する確率は約 5%。死亡保険金 3,000 万円の掛け捨て保険に月額 3,000 円で加入すると、30 年間の総支払額は 108 万円。期待値は 3,000 万円 × 5% = 150 万円。期待値だけ見れば「得」に見えるが、これは保険会社が付加保険料を上乗せする前の計算だ。
しかし、重要なのは期待値ではない。「5% の確率で家族が 3,000 万円を失う」リスクと、「確実に月 3,000 円を支払う」コスト。どちらが家計にとって致命的かを考えれば、答えは明らかだ。
保険は「損得」ではなく「安心」を買う商品だ。保証延長サービスの損得で解説した家電の延長保証とは、リスクの大きさが根本的に異なる。家電が壊れても生活は破綻しないが、一家の大黒柱が亡くなれば家計は破綻しうる。
入るべき保険と入らなくてよい保険
保険の原則は「低確率 × 高損害」のリスクにだけ加入すること。自分で負担できる損失に保険をかけるのは、期待値的に損だ。
入るべき保険。自動車保険 (対人・対物): 事故で数千万〜数億円の賠償責任が発生しうる。火災保険: 住宅が全焼すれば数千万円の損失。生命保険 (扶養家族がいる場合): 一家の収入が途絶えるリスク。これらは「発生したら自力で回復できない」損失だ。
入らなくてよい保険。スマホの保険 (月額数百円): スマホの修理費は数万円。貯金で対応できる。ペット保険: 治療費の上限が見えている。がん保険 (十分な貯蓄がある場合): 高額療養費制度で自己負担は月 8〜9 万円程度に抑えられる。
判断基準はシンプルだ。「その損失が発生したとき、貯金で対応できるか」。対応できるなら保険は不要。対応できないなら保険に入る。割引の数学と同じで、感情ではなく数字で判断することが重要だ。
保険料を下げる 4 つの方法
必要な保険に加入した上で、保険料を最小化する方法をまとめる。
1. ネット保険を選ぶ。対面販売の保険は、営業職員の人件費が保険料に上乗せされている。ネット保険 (ライフネット生命、SBI 生命など) は、この人件費を削減しているため、同じ保障内容で保険料が 20〜40% 安い。
2. 保障額を適正化する。「とりあえず 5,000 万円」ではなく、遺族の生活費、住宅ローンの残債、子どもの教育費を具体的に計算し、必要最小限の保障額に設定する。過剰な保障は無駄な保険料の原因だ。
3. 定期的に見直す。子どもが独立したら死亡保険の保障額を減らす、住宅ローンを完済したら団信の分を減らす。ライフステージの変化に合わせて保障内容を見直すことで、不要な保険料を削減できる。サブスクの棚卸しと同じ発想だ。
4. 公的保障を理解する。日本の公的保障は手厚い。遺族年金、高額療養費制度、傷病手当金。これらの公的保障でカバーされる部分は、民間保険で重複して加入する必要がない。
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