動画配信サービスの損益分岐点 - 月額いくらなら元が取れるのか

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月額料金を「1 本あたり」に換算してみる

動画配信サービスの月額料金を、映画 1 本あたりのコストに換算してみよう。

Netflix スタンダード (月額 1,590 円) で月に 8 本の映画を見れば、1 本あたり約 199 円。月に 4 本なら約 398 円。月に 1 本だけなら 1,590 円だ。

Amazon Prime Video (月額 600 円、年額なら月 492 円) で月に 4 本見れば、1 本あたり約 150 円。Prime Video は Amazon プライムの特典の一つなので、配送特典も使うなら実質的なコストはさらに下がる。

一方、映画館は 1 本 1,900 円 (一般)、レンタルは 1 本 300〜500 円だ。動画配信サービスで月に 2 本以上見るなら、レンタルより安くなる計算だ。

映画 1 本あたりのコスト (本文の金額で比較)
Prime Video (月 600 円・月 4 本)約 150 円配信でもっとも安い水準 Netflix (月 1,590 円・月 8 本)約 199 円見る本数が増えるほど下がる Netflix (月 1,590 円・月 4 本)約 398 円新作レンタル 1 本と同水準 レンタル (新作 1 本)400〜500 円見た分だけ払う 映画館 (一般 1 本)1,900 円1 本で完結する値段

棒の長さは 1 本あたりの金額を表す。配信サービスの金額は月額を実際に見た本数で割ったもので、見なかった月は分母がなくなる。

並べてみると、配信サービスの 1 本あたりは見た本数で大きく動き、映画館やレンタルのように 1 本の値段が先に決まっているものとは別の性質を持つことが分かる。

ただし、これは「実際に見た本数」で計算する必要がある。契約しているだけで見ていない月があれば、その月の 1 本あたりコストは無限大だ。サブスク疲れの記事で解説したように、使っていないサブスクは即解約が正解だ。

分母は「見た本数」- 契約した本数ではない

1 本あたりのコストという計算は、分母に何を置くかで結果が変わる。配信サービスの月額は実際に見た本数で割るので、見なかった月は分母がなくなり、金額はいくらでも大きくなる。図の棒が短く見えるのは「その本数を実際に見た場合」の姿だ。

レンタルや映画館は、払う前に本数が決まっている。1 本 400〜500 円のレンタルは借りた時点で 1 本ぶんを払うので、払った金額と見た本数がずれない。定額のサービスだけが、払った金額と見た本数を切り離す仕組みになっている。

だから比べるときは、月額の安さではなく先月の視聴本数から入る。先月 1 本しか見ていないなら Netflix スタンダードの 1 本あたりは 1,590 円で、映画館の 1,900 円に近い水準だ。見た本数を数えずに月額だけを並べると、この逆転が見えない。

レンタル vs サブスク - 損益分岐点は月 3〜4 本

「サブスクとレンタル、どちらが得か」の損益分岐点を計算してみよう。

新作映画のレンタル料金は 1 本 400〜500 円が相場だ。Netflix スタンダード (月額 1,590 円) の場合、月に 4 本以上見ればレンタルより安くなる (1,590 ÷ 400 = 約 4 本)。Amazon Prime Video (月額 600 円) なら、月に 2 本で元が取れる (600 ÷ 400 = 1.5 本)。

ここで重要なのは「見たい作品がそのサービスにあるか」だ。サブスクで見放題の作品は旧作が中心で、最新作は別途課金が必要なことが多い。最新作ばかり見たい人は、都度レンタルのほうが安くなるケースもある。

最新作を追うか旧作を掘るかで、同じ月額の意味が変わる。旧作を中心に見るなら定額のサービスが効き、最新作だけを追うなら都度レンタルのほうが読みやすい。損益分岐点の計算は、見たい作品がそのサービスにある前提で初めて成り立つ。

全サービスの招待コード一覧を見る

掛け持ちの合計は年額で見ないと分からない

複数のサービスを掛け持ちすると、月額の合計は簡単に 3,000〜5,000 円になる。年間で 36,000〜60,000 円だ。サブスクリプションの心理学で解説したように、月額表示は年間コストを見えにくくする効果がある。

月額 600 円と月額 1,590 円を別々に見ている間は、どちらも大きな金額には見えない。合計を年額に直すと 36,000〜60,000 円で、家電を 1 つ買える水準だ。契約は 1 つずつ増えるのに、金額の実感は合計でしか出てこない。この非対称が掛け持ちを増やす。

掛け持ちが増える理由はたいてい「見たい作品が別のサービスにある」ことだ。1 本のために契約し、見終わったあとも解約しない。契約の数を減らそうとするより、契約する期間を重ねないほうが現実的だ。1 か月だけ契約して見終わったら解約する、と先に決めておけば、合計は増えない。

無料で動画を楽しむ方法もある

お金をかけずに動画を楽しむ方法も知っておこう。

無料トライアルを活用する。多くの動画配信サービスは 1 か月の無料体験を提供している。見たい作品が決まっているなら、無料期間中に集中して視聴し、期間内に解約する方法がある。ただし、保有効果で「もう手放せない」と感じて有料プランに移行してしまうリスクがある点は意識しておこう。

広告付き無料プランを使う。TVer、ABEMA、YouTube は広告付きで無料視聴できる。CM が入る代わりに月額料金はゼロだ。時間に余裕がある学生にとっては、広告を見る時間と月額料金のトレードオフは悪くない。

図書館の DVD を借りる。公立図書館には DVD コーナーがあり、無料で借りられる。最新作はないが、名作映画やドキュメンタリーが揃っている。

無料の 3 つは、お金の代わりに別のものを払っている。無料トライアルで払うのは解約日を覚えておく手間、広告付きプランで払うのは広告を見る時間、図書館で払うのは借りに行って返しに行く時間だ。金額はゼロでも負担はゼロではない。月に 1〜2 本のために月額を払うより軽いかどうかを基準にすると選びやすい。

自分に合ったサービスの選び方

月に 1〜2 本しか見ない人: サブスクは不要。都度レンタル (400〜500 円/本) か、無料サービスで十分だ。

月に 4 本以上見る人: サブスク 1 つに絞るのがコスパ最強。Amazon Prime Video (月 600 円) は動画以外の特典もあるので、Amazon プライムを総合的に使うなら最もお得だ。

特定のジャンルが好きな人: アニメなら dアニメストア (月 550 円)、韓国ドラマなら Lemino、海外ドラマなら Netflix と、ジャンルに強いサービスを 1 つ選ぶ。

契約を決める前の確認順
1
先月に何本見たかを数える記録がなければ視聴履歴を見る。予定ではなく実績の本数を使う
月に 4 本以上
2
サブスクを 1 つに絞るAmazon Prime Video なら月 600 円。アニメ中心なら dアニメストア 月 550 円のようにジャンルで選ぶ
月に 1〜2 本
3
契約しない都度レンタル 400〜500 円/本か、広告付きの無料サービスで足りる
どちらの道でも、1 本あたりのコストが 500 円を超えたら解約を検討する

金額は本文で挙げた各サービスの月額とレンタル相場。分岐に使う本数は先月の実績で、見る予定の本数ではない。

最も避けるべきは「なんとなく複数契約して、どれもあまり見ていない」状態だ。毎月の視聴本数を記録して、1 本あたりのコストが 500 円を超えていたら、そのサービスは解約を検討しよう。

見た本数を記録すると迷わなくなる

ここまでの判断はどれも「先月に何本見たか」に戻ってくる。この数字だけは自分で数えないと出てこない。多くのサービスは視聴履歴を残しているので、月末に本数を数えるだけで足りる。

記録があれば、月額をその本数で割るだけで 1 本あたりの金額が出る。1 本あたりが 500 円を超えた月が続いたら解約する、と先に決めておけば、解約するかどうかを毎回考え直さなくてよい。判断の基準を作品の面白さから金額に移すのが目的ではなく、迷う回数を減らすのが目的だ。

解約しても見た記録は残る。また見たい作品が増えたときに契約し直せばよく、配信サービスの再契約に手数料はかからない。毎月契約するかどうかを選び直せるのが定額サービスの利点で、契約したまま考えないのが一番高くつく。

よくある質問

サブスクとレンタルの損益分岐点は月に何本ですか?

新作レンタルが 1 本 400〜500 円なので、Netflix スタンダード (月額 1,590 円) なら月に 4 本以上見ればレンタルより安くなります (1,590 ÷ 400 = 約 4 本)。Amazon Prime Video (月額 600 円) は月に 2 本で元が取れます (600 ÷ 400 = 1.5 本)。ただし見たい作品がそのサービスにある場合の計算です。

1 本あたりのコストはどう数えればよいですか?

月額を「実際に見た本数」で割ります。契約しているだけで見ていない月は分母がなくなるため、1 本あたりのコストは無限に大きくなります。先月 1 本しか見ていないなら月額 1,590 円のサービスの 1 本あたりは 1,590 円で、映画館の 1,900 円に近い水準です。

お金をかけずに動画を見る方法はありますか?

1 か月の無料トライアル、広告付きで無料の TVer・ABEMA・YouTube、公立図書館の DVD があります。ただし無料トライアルは保有効果で有料プランへ移行してしまうリスクがあり、広告付きプランは広告を見る時間を払っています。金額がゼロでも負担がゼロではない点を踏まえて選んでください。

複数のサービスを契約していると何が問題ですか?

掛け持ちすると月額の合計は簡単に 3,000〜5,000 円、年間で 36,000〜60,000 円になります。月額表示は年間コストを見えにくくするため、契約が 1 つずつ増えても金額の実感が追いつきません。1 か月だけ契約して見終わったら解約する、と先に決めておくと合計が膨らみません。

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