飲み物が奥にある理由 - 店内を歩かせる動線設計
コンビニに入って飲み物を買おうとすると、冷蔵ケースは必ず店の奥にある。入口のすぐ横に飲み物があるコンビニは見たことがないだろう。これは偶然ではなく、意図的な設計だ。
飲み物はコンビニで最も購入頻度が高い商品だ。これを奥に配置することで、客は店の奥まで歩くことになる。その途中で目に入る商品 - お菓子、パン、おにぎり、雑誌 - が「ついで買い」を誘発する。
スーパーでも同じ戦略が使われている。スーパーの棚の科学で解説したように、牛乳や卵といった必需品は店の奥に配置され、客の動線を最大化する設計になっている。「奥まで歩かせる」ことが、客単価を上げる最もシンプルな方法なのだ。 お菓子を試してみる →
レジ横のホットスナック - 「ついで買い」の最終兵器
レジの横にチキンや肉まんが並んでいるのは、「ついで買い」を最大化するためだ。会計を待っている間、目の前に温かくて美味しそうな食べ物がある。しかも 100〜200 円と手頃な価格。「1 個追加しようかな」と思わせるには最高のポジションだ。
レジ横商品の利益率は非常に高い。ファミチキの原価は推定 30〜50 円で、販売価格は 200 円前後。粗利率は 70〜80% だ。通常の商品の粗利率が 30〜40% であることを考えると、レジ横商品は「利益の稼ぎ頭」だ。
コーヒーマシンがレジの近くにあるのも同じ理由だ。コンビニコーヒーは 1 杯 110 円で粗利率 50% 以上。レジで会計するついでに「コーヒーも」と注文させる導線が設計されている。
「ゴールデンゾーン」- 目線の高さに高利益商品を置く
コンビニの棚には「ゴールデンゾーン」と呼ばれるエリアがある。床から 110〜140cm の高さ、つまり大人の目線の高さだ。この位置に置かれた商品は、他の位置より 1.5〜2 倍売れると言われている。
ゴールデンゾーンに配置されるのは、利益率の高い商品や新商品だ。逆に、安くて利益率の低い商品は棚の下段に置かれる。ペットボトルの水やお茶が棚の下のほうにあるのは、利益率が低いからだ。
子ども向けのお菓子が棚の低い位置にあるのは、子どもの目線の高さに合わせているためだ。大人のゴールデンゾーンと子どものゴールデンゾーンは異なる。店は客層に合わせて、最も効果的な位置に商品を配置している。
この知識があれば、「目の前にある商品が本当に欲しいのか、それとも目立つ位置にあるから欲しく見えるだけなのか」を区別できるようになる。
コンビニで衝動買いを防ぐコツ
コツ 1: 買うものを決めてから入る。「おにぎりとお茶」と決めてから入店し、それだけを買ってレジに向かう。店内をうろうろしないのが最大の防御策だ。
コツ 2: レジ横を見ない。レジ横のホットスナックは「見たら欲しくなる」ように設計されている。会計中はスマホを見るなどして、視線をそらすだけで衝動買いが減る。
コツ 3: 棚の下段をチェックする。同じカテゴリの商品でも、棚の下段にある商品のほうが安いことが多い。PB (プライベートブランド) 商品も下段に配置されがちだが、品質は十分で価格は 20〜30% 安い。
コンビニの配置戦略は、ナッジの実践例だ。選択の自由は奪わないが、特定の商品を買いやすいように環境を設計している。仕組みを知っていれば、コンビニの値引き戦略と合わせて、より賢い買い物ができる。
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